World Mystery Tour by Mr. M
                 



事件ファイル05


                成田・謎の老人編


       M氏はあまりのうるささに目が覚めてしまった・・・・・。

       ここは成田市内にある吉○家の前にある某Kホテル。その日、その時刻、本来で
       あれば、ソウルからN国行きの某K航空の機内にいるはずのM氏はなぜかまだ
       日本にいた。成田発ソウル行きの飛行機が、仁川空港が濃霧のため着陸できず、
       あろうことか出発地の成田に戻ってきてしまったのである。風邪をこじらせてしまい
       40度の高熱にもかかわらず、必死の思いで搭乗したと言うのに、何という不運!!
       とりあえずM氏は翌日の再出発に備え、午後十時には早々とベッドにもぐり込んだ。

       午前2時、隣の部屋から聞こえてくる騒音のため、M氏は目が覚めてしまった。こん
       な夜中に一体何をやっているか、「ドスン! ドスーン! カーン、カーン!!」という
       妙な騒音が聞こえてくる。本来であれば文句の1つでも言うところであるが、心身とも
       に風邪で弱りきっていたM氏には、その気力などなく、ただただ頭から布団をかぶり、
       騒音に堪えるだけであった。

       午前6時、ようやく騒音はしなくなったのだが、今度は逆に静か過ぎて眠ることができ
       ない。ホントに絵に描いたような不幸である。どっちみち午前7時には起きなければ
       ならなかったM氏は、もう寝ることを諦め、少しでも体力をつけるために、ホテル1Fの
       レストランに朝食を食べに行くことにした。

       午前6時15分、レストランの前には1人のお爺ちゃんがたたずんでいた。良く言えば
       純朴そのもの、悪く言えば田舎者丸出しの風貌のお爺ちゃん、強い訛りのある口調
       でウエイトレスさんに何時からレストランが開くのかを聞いていた。ここのホテルの
       レストランは少々変わっていて、OPENするのは午前6時20分と、妙に中途半端な
       時間だったので、この段階ではまだOPENしていなかったのである。

       午前6時20分、ようやくレストランがOPENした。ウエイトレスが入口のところにやっ
       て来て、M氏とお爺ちゃんに「お待たせいたしました。どうぞお入り下さい。なお朝食
       はバイキング方式ですので♪」と、爽やかな笑顔で挨拶をした。M氏はさっそく店内
       に入ろうとしたのだが、なぜかお爺ちゃんは直立不動のまま動かない・・・。

       「ん? どーしたんだ??」と思い、M氏はお爺ちゃんの顔を覗き込んでみた。完全
       に瞳孔が開いている。どうやらバイキングの意味が解らないらしい。

       本来は非常に心優しいM氏ではあるが、この時は風邪のために、他人にかまって
       あげる余裕はまったくなく、お爺ちゃんを無視してさっさと店内に入った。 入口近くに
       置いてあるトレーにお皿を載せ、さて何を食べようかと考えたのだが、どうもイマイチ
       食欲が湧いてこない・・・。さんざん迷った末に、M氏はトレーの上に味噌汁とオレンジ
       ジュースだけを載せた。

       と、その時、ふと人の気配を感じて隣を見てみると、先ほどまで直立不動であった
       お爺ちゃんが、いつの間にかトレーを持ってM氏の横にたたずんでいたのだが、
       お爺ちゃんのトレーの上を見た途端、M氏は愕然としてしまった!! な、ナント、
       お爺ちゃんのトレーの上にも味噌汁とオレンジジュースだけが載っていたのである!
       つぶらな瞳でM氏を見つめるお爺ちゃん。M氏は急に寒気がしてきた。

       「キ、気味の悪いジジイだ・・・・・」 M氏はまたおじいちゃんを無視して、50以上ある
       テーブルの中から、一番奥の壁際にある2人用の小さなテーブル席についた。風邪を
       引いたときに飲むオレンジ・ジュースというのは五臓六腑にほどよく染み渡る。M氏は
       一気にジュースを飲み干した。そして飲み終えたグラスをトレーの上に置こうとした時、
       思わずグラスを落としそうになってしまった!! ナントお爺ちゃんがM氏の前の席に
       ちょこんと座っていたのである! ちょっと想像していただきたい。50以上もテーブル
       がある広い店内の、それも一番奥の壁際の小さなテーブルでスーツ姿の男と野良仕事
       から帰ってきたような容姿の老人が、向かい合ってオレンジジュースと味噌汁を飲んで
       いる光景を・・・。不気味以外の何物でもない。

       妙な係わり合いを恐れたM氏は、味噌汁を一気に飲み干すと、さっさとレジの方に向
       かった。レジのお姉さんに、「お部屋の番号は?」と尋ねられ、「616号室です」と答え
       ると、M氏はそそくさと部屋に戻ろうとした。そしてレストランを出る際にふと後ろを振り
       返ってみると、先ほどのお爺ちゃんもレジのところにいる。どうやら勝手がまったく解ら
       ないお爺ちゃんは、徹底的にM氏の行動をマネする作戦に出たようだ。

       レジのお姉さんがお爺ちゃんにも部屋番号を尋ねる。

          「617号室です・・・」








        

         




        普段は温厚なM氏であるが、思わずM氏は心の中でそう叫ばずには
        いられなかった・・・・・・



                          back to the menu






©Knight Flight 2003. Presented By C-sama, Capt. Dan and Chocolist.