World Mystery Tour by Mr. M
                 



事件ファイル06


                その筋の御方編


      飛行機は徐々に高度を下げて最終着陸態勢に入り、定刻より10分ほど早く伊丹空港
      に到着した。手荷物はすべてチェックインの際に宅配便で京都の宿泊ホテルまで配達
      するよう頼んでいたので、M氏はまったくの手ブラ状態で到着ロビーを駆け抜けた。
      出口の前には「MKシャトル」の運転手がM氏の名前を書いたボードを持って待ち構え
      ていた。MKシャトルは伊丹空港から京都市内の好きな場所にたった2千円で連れて行
      ってくれる、非常に便利な乗合タクシーである。

      運転手に案内されて、ターミナルビルの脇に止めてあるワゴン車に乗り込んだM氏は
      思わず息を飲んでしまった。車内には濃いサングラスをかけた「そのスジのお方」らしき
      コワ面の中年男性客が2名、股を大きく広げて座っていたのである。M氏は万が一にも
      そのスジのお方の足を踏むようなことのないよう、細心の注意を払いながら乗車した。
      そして、どうやらお客は3人だけだったようで、M氏が乗り込むと、すぐに運転手さんも
      運転席に座った。

      するとイキナリそのスジのお方の1人が運転手に向かって、とってもドスの利いた声で、
      話し掛けはじめた。


       
       


      こ、コワ過ぎる・・・・・・そう思ったM氏はとりあえず京都につくまでの間、寝たふりをする
      ことに決めた。しかし、そのスジのお方の脅し?はこれだけではなかった。しかし、その
      スジのお方の脅し?はこれだけではなかった。

       オイ、もっとはよ走らんかい!

       ぶつけてもエエから、前の車を
       抜いたらんかいや!
      
       なんでこの道を通るんや、ボケッ!

       そこ、右曲がれ! 右や右!

       ホンマにドン臭いちゃちゃのぉ


      京都までの約1時間、彼らは言いたい放題であった。しかし何事もプロというのは
      スゴイものである。そのスジのお方の度重なる脅しにもかかわらず、運転手は表情
      1つ変えずに淡々と運転を続けている。

      緊張の内に40分が過ぎ去った。車は高速道路を降り市内の細道を15分ほど走った
      後に、ようやくそのスジのお方の家の前に到着した。

      「一体どんな家に住んでるんだろうか????」 
  
      それまで寝たフリを続けていたM氏は、持ち前の好奇心を押さえることができず、薄目
      を開けてそっと外の様子を窺ってみた。

      その時だ! M氏は思わず自分の眼を疑ってしまった。 な、ナント、車は「お寺」の
      前に停まっていたのである。そのスジのお方は単なる「ガラの悪い坊主」だったのだ。
      2人は最後部座席に座っていたM氏の方に振り返って、先ほどまでとはうって変わった
      満面の笑顔で「ホナ、お先ですぅ♪」と言って、車を降りた。

      運転手さんとM氏の2人きりになったところで、「イヤぁ〜っ、まさか坊さんだとは
      思いませんでした。」と運転手さんに言うと、「なんか今日はこれから2人でゴルフ
      に行くらしくて、午後2時からスタートなんで、それで急いでいらっしゃったみたい
      です。」と苦笑しながら教えてくれた。

      ったく、最近の坊主ときたら・・・・M氏はそう思わずにはいられなかった



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